システム・不具合等。現在は修正ファイルが出て修正されているようですが、初版に関しては「フルスクリーンにすると落ちる」「メモリリークで落ちる」「クリアしたと思ったらフラグが飛んでる（CGモードに入れなかったりおまけシナリオが読めなかったりする）」「使えなくなるセーブデータがある」「メッセージウィンドウは消せない」「エフェクトは切れない」「ボリューム設定を終えるとゲームも終了してしまう（笑）」など、この他にも笑うに笑えない不具合が山積みだったようです。おそらく今年に出たゲームの中でも１、２をあらそうバグゲーなんじゃないかと。私はちょうど『Production StarHole』で公開された『秋桜の空に ISM版』（現在のバージョンは1.00β03）を使わせて頂いたのでたいへん快適にプレイすることが出来ました。いつまで公開されているかは分かりませんが、これからプレイされる方は是非こちらを使用されることをお勧めします（これはゆきろうさんに教えて頂きました。どうも有り難うございます）。まるで別のゲームのように快適でした。

登場人物。攻略対象は5人。他にもサブキャラクターが非常に良い味を出していて、それぞれ魅力的ですね。

桜橋涼香（さくらばし・すずか）。「すずねえ」。幼馴染みのおねーさん。これでもかっっっっと言わんばかりに甘いです。

楠若菜（くすのき・わかな）。「カナ坊」。栗好きで病気がち。ちびびとなのに同級生ってところが画期的ではないかと。

佐久間晴姫（さくま・はるひ）。「はるぴー」。主人公が指導をすることになる水泳部の部員。短気なツインテールさん。

小泉ひより（こいずみ・ひより）。「ひよ先生」。教育実習生。見た目は大人なのだが、その実かなり粗忽。くしゅー。

尼子崎初子（あまこざき・ういこ）。神社の娘。胸がでかくてトラブルメイカー。主人公とはボケツッコミ万能な良いコンビ。

グラフィック。ほとんど立ち絵と背景だけで作られているのですが、出来が良いのであまり気になりません。表情変化が豊富でテキストに合わせてかなり細かく演出されていました。その反面、イベントCGの数や質にはやや難があり、これは別人ではないかと思えてしまうものもありました。CGモードで確認したところ1人あたり12〜15枚程度と言ったところ。

BGM・効果音。単独で聞くほどではないかも知れませんが、ゲームの雰囲気を盛り上げてくれる劇伴として「良い曲」が揃っていて不満はありません。PCの音環境が貧弱なので、CD-DA収録ということもありまともな音が出るオーディオに突っ込んで聞いてみましたが、かなりしっかりした音作りがされているのが分かりました。ボーカルが入った3曲はリバーブだかディレイだかが強すぎるかと思うくらい。シナリオが割と長めなので少しばかり使いまわしが多いかなと思えなくもないけれど、曲数もこれくらいで充分だと思います。あと、効果音がこまめに入っているのはとても楽しかったですね。

シナリオ。主人公は少年時代に起こった出来事のために他人を好きになったり好きになられたりすることに臆病になっています。また、彼の周りにいる女性たちもそれぞれに悲しい記憶やトラウマを持っていて、それでも互いに恋愛感情を持ってしまうのですがやはり最後には……と、ほぼ同じストーリーが5人分ある構成になっています。その過去の出来事の原因を作ったのが「すずねえ」ってことで彼女のシナリオがメインになるようです。この「少年時代に起こった出来事」の設定そのものにファンタジー色が強く、読み手としては「ああ、そう言うことになっているんだな」と納得して物語を受け入れるしかありません。設定自体のオリジナリティや新味には欠けるかも知れませんが、全体のほとんどを占める学園コメディ部分がとにかく面白くて、そんなことはほとんど気になりませんでした。言ってみれば神様が降りてきて交通整理をする類いのストーリーですが、きちんと演出されていて「感動できる」ラストシーンを描くことに成功していました。

えろ。6〜8時間ほどテキストを読み進めていくと最後の方で5〜10分ほど、それも1回だけと言う入り方なのでエロゲーとしてはあまり使えませんし、無くても別に問題ないような感じなので、この部分に期待すると裏切られることになるかと。シチュエーションがちょっと特殊なので私はここでも笑えてしまいました。もう少し頑張って複数回入れて欲しかったところですが、下手をすると全体の雰囲気を壊すことにもなりかねないので、これはこれで良かったのかなと言う気もします。